懸垂で大胸筋は鍛えられる?正しいフォームとおすすめトレーニング法を解説

上半身の筋肉を鍛えられる懸垂(チンニング)。主に背中を鍛えるためのトレーニングとして知られています。

しかし「懸垂で背中を鍛えたはずなのに、なぜか胸筋が筋肉痛になった」という話も聞いたことがあるのではないでしょうか?

実は、メインではありませんが、懸垂で大胸筋も鍛えられるんです。

そこで今回は、懸垂で大胸筋を鍛えられるのかについてや懸垂で鍛えられる部位について解説します。

また、大胸筋のための懸垂メニュー・懸垂の注意点なども併せて説明しますので、参考にしてください。

懸垂(チンニング)で大胸筋は本当に鍛えられる?

前述した通り、やり方次第では懸垂で大胸筋をある程度は鍛えられます

ただし、大胸筋をメインで鍛えることは難しいでしょう。

なぜなら、大胸筋は押す動作で鍛えられる筋肉であり、懸垂は引く動作のため、大胸筋に対してメインの刺激とはならないからです。

そのため、懸垂は大胸筋をメインに効率よく鍛えたいという方には向いていません。

ただし、背中をメインに大胸筋も一緒に鍛えたいという方にはおすすめのトレーニング法です。

もし大胸筋をメインに鍛えたいと思っている場合は、以下の記事も参考にしてください。

懸垂(チンニング)で鍛えられる筋肉の部位

懸垂では主に背中の筋肉が鍛えられます。

メインで使う筋肉は具体的に、以下の4つです。

  • 広背筋
  • 僧帽筋
  • 三角筋
  • 大円筋

上記の筋肉に加えて、腕の筋肉である上腕二頭筋、さらに副次的に大胸筋と腹直筋も鍛えられます

広背筋

背中から腰・腕へとつながっている大きな筋肉です。

懸垂で一番鍛えられるのがこの広背筋で、逆三角形の背中を作るうえで欠かせません。

僧帽筋

首から肩、そして背中の上部にかけてある筋肉です。

腕と肩甲骨を動かしたり、安定・固定させる働きがあります。

僧帽筋を鍛えると、猫背や肩こり改善などの効果が期待できます。

三角筋

肩全体を覆っている、三角形の形をした大きな筋肉です。

広い肩幅を手に入れたい方は、優先的に鍛えておきたい部位と言えます。

大円筋

脇の下にある、肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉です。

広背筋の働きをサポートする役割があり、鍛えると凹凸のあるかっこいい背中を作ることができます。

懸垂(チンニング)で得られる4つのメリット

ここからは、懸垂(チンニング)によって得られる4つのメリットを紹介します。

メリット①:総合的に上半身の筋肉を鍛えられる

懸垂は総合的に上半身の筋肉を鍛えられるトレーニングで、広背筋や上腕二頭筋・大胸筋などの幅広い筋肉を一度に効率よく鍛えられます。

上半身のトレーニングは懸垂だけで十分という人もいるほどです。

また、懸垂によって筋肉量が増えれば、基礎代謝が上がり、痩せやすく太りにくい身体になります。

このことも懸垂のメリットと言えるでしょう。

メリット②:逆三角形のかっこいい背中を作れる

懸垂は逆三角形の背中を作るために欠かせない筋肉「広背筋」を鍛えられます。

懸垂では自分の全体重が負荷になるため、他の背中のトレーニングと比べてもかなり強度の高いトレーニングです。

つまり懸垂は、広背筋に大きな負荷をかけられるため、逆三角形の背中を形成するのに効果的なトレーニングと言えます。

メリット③:背中が鍛えられて猫背の改善が期待できる

懸垂では猫背の改善を期待できます。

猫背の主な原因の一つは、背中の筋肉の衰えによるものです。

懸垂ではその背中の筋肉をメインに鍛えられるため、猫背が改善され、姿勢がよくなります

また、大胸筋や腹筋など前側の筋肉ばかりを鍛えて猫背になった方も、懸垂で後ろ側の筋肉を鍛え、前後のバランスを整えるることで、猫背を改善できます。

メリット④:肩こりが解消される

懸垂は肩こりを解消する効果があります。

肩こりは僧帽筋の緊張により、血行不良が引き起こされることが原因の一つと考えられています。

懸垂ではこの僧帽筋が鍛えられ、血行が促進されるため、肩こりの緩和を期待できます。

長時間のデスクワークやスマホ・パソコンの使い過ぎなどで、慢性的に肩こりがある方にも、懸垂はおすすめです。

懸垂(チンニング)の正しいフォーム

ここからは、懸垂の正しい手順とフォームを紹介します。

間違ったフォームで行うと、トレーニングの効果が半減するどころか怪我の元につながります。

逆を言えば、正しいフォームで行うと効果的に鍛えられ、怪我の防止にもなるということです。

懸垂には様々なフォームがありますが、ここでは最もベーシックなフォームを紹介します。

【懸垂の基本フォーム

ホームポジション:両手の間隔を肩幅よりやや広く取り、順手(手の甲を上にして握る方法)でバーを握る。

  1. 胸を張り、肩甲骨を寄せながら上半身を持ち上げる。
  2. 顎がバーと同じ高さまできたら、1秒ほど止まる。
  3. 肘が伸びきる寸前のところまでゆっくりと身体を下げていく。

懸垂についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

大胸筋にも効くおすすめ懸垂(チンニング)トレーニング3選

それではここから、背筋だけでなく大胸筋にも効く、懸垂トレーニングを3つ紹介します。

ナローグリップチンニング

ナローグリップチンニングは、基本の懸垂よりも両手の間隔を狭くして行う懸垂トレーニングです。

広背筋下部をメインに鍛えられるトレーニングですが、バーを逆手で握ることで大胸筋にも効かせられます

ナローグリップチンニングのやり方

  1. 肩幅より狭い間隔でバーを逆手で握る。
  2. バーを胸に引き寄せるように、肩甲骨を寄せながら身体を引き上げる。
  3. 限界まで引き上げたら、その状態で1・2秒キープ。
  4. ゆっくりと体を下ろす。

10回×2〜3セットを目安に行いましょう。

ワイドグリップチンニング

出典:ワイドグリップチンニング|懸垂(チンニング)トレーニング by GronG グロング

ワイドグリップチンニングは、両手の間隔を肩幅より広くとって行う懸垂トレーニングです。

広背筋をはじめ、大円筋・僧帽筋・大胸筋の幅広い筋肉に効きます。

懸垂の中でも強度の高いトレーニングなので、初心者には難しいかもしれませんが、その分効果が得られやすいトレーニングです。

ワイドグリップチンニングのやり方

  1. 肩幅より拳1・2個分外側でバーを順手で握る。
  2. 親指を外し、顎がバーの高さに届くまで身体を引き上げる。
  3. ゆっくりと体を下ろす。

背中を反らして行うと、背筋をメインに、背中をまっすぐにして行うと、大胸筋にも効きます

ポイントは肩が上がらないようにすること。肩が上がると肩甲骨もつられて上がってしまうため、十分なトレーニング効果が得られません。

トレーニング回数は10回×2〜3セットが目安です。

強度の高いトレーニングなので、通常の懸垂ができるようになってから、少しずつ回数を増やしていくとよいでしょう。

ディップス

出典:【腕トレ】腕や胸にかなり効く!?大胸筋と上腕三頭筋を大きくするディップスの正しいフォームを解説【胸トレ】 by 山本義徳 筋トレ大学

ディップスは正確に言うと懸垂ではありませんが、懸垂マシンを使ってできるトレーニングです。

「上半身のスクワット」とも呼ばれ、大胸筋下部や三角筋・上腕三頭筋をメインに鍛えることができます。

大胸筋をメインに鍛えるトレーニングには、他にもベンチプレスがありますが、ディップスはベンチプレスよりも安全にできるというメリットがあります。

ディップスのやり方

  1. ディップスバー(平行棒)を両手で握る。
  2. 足をクロスして、膝を軽く曲げる。
  3. 顎を引いて、肩を前に出し、胸を少し丸める。
  4. 上半身を少し前傾させながら、ゆっくりと身体を下げる。
  5. 肘を90度か90度より少し深いくらいまで肘を曲げる。
  6. 身体を持ち上げ、肘を伸ばしきる。

15回×2〜3セットが目安ですが、初心者の方は5回程度からはじめて、徐々に回数を増やしていくと良いでしょう。

ディップスはフォームを間違えると肩を痛めたり、大胸筋に効かなかったりするため、必ず正しいフォームで行ってください。

懸垂(チンニング)で大胸筋を鍛える際の6つの注意点

ここからは、懸垂で大胸筋を鍛える際に注意しておくべきポイントを6つ紹介します。

注意点①:脇を締める

懸垂をするときは、脇を締めるように意識しましょう。

懸垂は主に背中の筋肉に効くトレーニングですが、脇を締めるようにして行うと大胸筋にも負荷がかかり、効果を期待できます。

また、身体を持ち上げるときに、肩甲骨を寄せるように意識することもポイントです。

注意点②:鍛えたい部分を意識する

懸垂では鍛えたい部分の筋肉を意識することが大切です。

トレーニング中に鍛えたい部分の筋肉に意識すると、筋トレの効果を得られやすいためです。

懸垂では広背筋や僧帽筋などの背中や肩の筋肉がメインに使われますが、大胸筋を鍛えたい場合は、大胸筋に意識を向けてみてください。

初心者の方の中には、正しいフォームでやるのに精一杯で、筋肉の方にまで意識を向けられないという方もいるでしょう。

その場合は、まず正しいフォームを身体で覚えてから、筋肉へ意識を向けるでも大丈夫です。

注意点③:反動を使わずゆっくり動く

懸垂では反動を使わないようにしましょう。

あえて反動を使うことによって筋肉により大きな負荷をかける「チーティング」というトレーニング法もありますが、あまりおすすめしません。

反動を使うと鍛えたい筋肉とは別の筋肉に力が入って、筋トレの効果が半減してしまうためです。

また、フォームが乱れ、怪我をするリスクも増加します。

反動に頼らず、一回一回丁寧かつ正しいフォームで行うことが、安全で効果的なトレーニング法です。

注意点④:回数よりもフォームを重視する

懸垂の際は、何回できたか(回数)よりも正しいフォームであるかを重視しましょう。

回数にとらわれると、間違ったフォームで回数だけを追い求めてしまう恐れがあります。

間違ったフォームのまま筋トレをしても、筋トレの効果が半減するだけなく、怪我にもつながります。

懸垂は負荷の高いトレーニングなので、正しいフォームで行うと少ない回数でも十分効果を感じられるはずです。

正しいフォームで行えるようになったら、少しずつ回数を増やして、負荷を上げていくとよいでしょう。

注意点⑤:週に2〜3回の頻度で行う

懸垂で疲労した筋肉を休ませるために、毎日は行わないようにしましょう。

筋トレでは、筋肉が「超回復」する期間を設けることが大切です。

超回復とは、筋トレによって破壊された筋肉が休息と栄養によって修復され、以前よりも太く強い筋肉になることを言います。

超回復にかかる期間はパーツによって異なりますが、懸垂で使う筋肉の場合は48〜72時間程度です。

つまり、懸垂は2〜3日おきに行うのが理想です。

ただし、それ以上休ませすぎても筋肉が元に戻ってしまうので、休ませすぎてもいけません。

注意点⑥:呼吸を忘れない

懸垂をする際は、呼吸を忘れないようにしましょう。

フォームや力を入れることに集中するあまりに、呼吸を止めてしまうことがよくあります。

呼吸を止めると体内の酸素量が不足するため、思うように力が入らなくなります。

また、血圧が急激に上昇し、めまいや失神を引き起こしやすくなるため、健康面や安全面から見ても非常に危険です。

懸垂の際の呼吸法

  1. 身体を持ち上げるときに、鼻から深く息を吸う。
  2. 身体を下ろすときに、口からゆっくりと息を吐く。

正しい呼吸法で行うと懸垂の効果もアップします。ぜひ、正しい呼吸法を意識しましょう。

大胸筋を大きくするために、筋トレ以外で気をつけたい3つのポイント

ここからは、筋トレ以外で大切なポイントを3つ紹介します。

ポイント①:使った部分の筋肉をストレッチでゆるめる

懸垂をした後は、背中や大胸筋のストレッチをして筋肉をゆるめましょう。ストレッチをすることで筋肉の緊張をほぐし、疲労が緩和されます。

ただし、無理に伸ばそうとすると筋トレで傷ついた筋繊維がさらに傷つき、痛みの原因になりかねません。

無理のない範囲で気持ちいいと感じる程度に行いましょう。

大胸筋に効くストレッチのやり方

  1. 体の後ろで手を握る。
  2. 顎は引かず、胸が上を向くような姿勢のまま、握った手を後ろに伸ばす。
  3. 深呼吸をしながら、10〜20秒キープ。

ポイント②:筋トレ後にタンパク質を摂る

筋トレ後はタンパク質をしっかりと摂って、筋肉に必要な栄養を補いましょう。

筋トレ後にタンパク質を摂らないと、筋肉が超回復できないため筋肉が大きくなるどころか小さくなってしまいます。

タンパク質は一度に大量に吸収できないので、1日に必要な量を3回の食事で補給しましょう。

食事だけで1日に必要なタンパク質をとれない場合は、食事以外にプロテインパウダーなどを活用してみてください。

1日の必要なタンパク質の量は、体重と運動量によって変わります。

自分の必要なタンパク質の量を把握するには、以下の計算式をご参考ください。

  • ライトな筋トレ:体重×1.2〜1.4g
  • ハードな筋トレ:体重×1.6〜1.7g

なお、筋トレと食事の関係は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

ポイント③:1日8時間を目安に良質な睡眠を心がける

筋トレの効果を発揮するために、1日8時間を目安に良質な睡眠を心がけましょう。

筋トレによって破壊された筋繊維は、成長ホルモンの働きによって補修されます。

この成長ホルモンは夜寝ている間に多く分泌されるため、十分に睡眠をとることが大切です。

睡眠時間はできれば8時間、少なくとも6時間は確保しましょう。

効率よく胸筋を鍛えるならパーソナルトレーニングがおすすめ

この記事では懸垂で胸筋を鍛えるトレーニング法やポイントを紹介しました。

懸垂は負荷が高く、上半身の筋肉を効率的に鍛えられるトレーニングです。

しかし、一人で筋トレをすると、きちんと正しいフォームで行えているか、理想のボディラインに近づけるにはどのメニューがいいのかなど、わからないこともあるでしょう。

そんなときにおすすめなのが、パーソナルトレーニングです。

パーソナルトレーニングでは、トレーナーが一人ひとりのレベルや目標に合わせて、やり方やメニューについてアドバイスしてくれます。

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